屋久島2日目は縄文杉トレッキング。この旅のメインイベントです。運動不足で縄文杉まで無事たどり着けるか不安でいっぱいでしたが、夢だった縄文杉との対面が叶って感無量です。
縄文杉トレッキング概要
日程
2017年8月12日 晴れ
ルート
往路 荒川登山口〜小杉谷集落跡〜楠川分れ〜大株歩道入口〜ウィルソン株〜大王杉〜縄文杉
復路 縄文杉〜大王杉〜ウィルソン株〜大株歩道入口〜楠川分れ〜小杉谷集落跡〜荒川登山口
往復 約22km
所要時間
6:20登山開始 15:40下山
行動時間 8時間
休憩時間 1時間20分
コースタイム
荒川登山口(6:20)
小杉谷集落跡(7:00-7:05)
楠川分れ(7:40-7:45)
大株歩道入口(8:40-8:50トイレ)
ウィルソン株(9:20)
大王杉(10:10-10:30昼食)
縄文杉(11:00-11:15見学)
大王杉(12:05)
ウィルソン株(12:45)
大株歩道入口(13:15-13:25トイレ)
楠川分れ(14:20-14:30トイレ)
小杉谷集落跡(14:50-14:55)
荒川登山口(15:40)
荒川登山口までのアクセス
3月から11月の間は、荒川登山口への車両乗り入れは禁止されているので、この期間中は荒川登山バスかタクシーで荒川登山口まで行く必要があります。私たちは、登山バスを利用しました。
登山バス券は、当日、屋久杉自然館でも購入することができますが、前日までに観光案内所などで購入しておくと当日の動きがスムーズです。
わたしたちは安房地区の宿に宿泊していたので、まずは小原町というバス停からまつばんだ交通のバスで屋久杉自然館まで行き、そこから荒川登山バスで荒川登山口まで行きました。
小原町バス停(4:05)→屋久杉自然館着(4:48)
屋久杉自然館(5:20)→荒川登山口(5:55)
(注意)最新のバスの時刻表をご確認ください。
夏休みで混雑する時期だったせいか、小原町から屋久杉自然館へのまつばんだ交通のバスも、屋久杉自然館から荒川登山口への登山バスもどちらも満席でした。小原町から屋久杉自然館へのバスは、途中のバス停で待っている人が乗り切れないこともあったほど。屋久杉自然館から荒川登山口への登山バスも、わたしたちが屋久杉自然館に着いたときにはすでに荒川登山バスに乗るための長蛇の列ができている状況でした。
本来は5時のバスに乗るつもりでしたが、それには乗り切れず、次の5時20分に乗って荒川登山口へ。この待ち時間の間に朝食用のお弁当で腹ごしらえしました。
ちなみに、荒川登山バスでは右側に座ると道中綺麗な景色が見えると、近くにいたガイドさんらしき人が話していましたが、マイペースな夫は左側の座席に着席。それに従う素直なわたし。綺麗な景色は、右側の座席に座る人たちの頭越し、肩越しにしか見えませんでしたが、荒川登山口のトイレが混むとみて、前方の座席に座ったのは大正解でした。おかげで列に並ぶことなくトイレを済ませることができました。
荒川登山口から登山開始
出すもの出してすっきりしたあとは、軽く準備運動をしていざ出発です。
縄文杉トレッキングの4分の3はこんなトロッコ道です。長いトロッコ道の始まり始まり。
途中、枕木の間から下の川が見えるスケスケの橋もいくつか現れます。中には欄干がない橋もあって、ビビリのわたしは抜き足差し足で渡ります。欄干がある橋でも左右の隙間が微妙に恐怖を煽ります。
歩き始めた頃は、昇りきっていなかった日が徐々に昇ってきて、どこぞの山の山頂を照らし始めました。
スタンドバイミーを彷彿とさせるような緑のトンネルに覆われたトロッコ道。思わず、うぇんざないっ、と歌い出したくなります。
杉の伐採で栄えた集落、小杉谷集落跡
歩き始めて40分ほどで、小杉谷集落跡に到着。小杉谷は、大正から昭和にかけて、杉の伐採で栄えた集落で、最盛期には133世帯がここで生活していたそうです。小杉谷の小中学校跡の校庭やあずまやが残り、当時の生活の様子がほんの少しだけ垣間見えました。ここで軽く休憩。
白谷雲水峡との分岐点、楠川分れ
さらに、トロッコ道を歩き続け、楠川分れに到着。
ここは苔むす森の白谷雲水峡との分岐点です。
楠川分れでも少し休憩をして、さらにトロッコ道を進みます。
小杉谷橋を渡った後は、木道になって歩きやすくなりました。やっぱり、うぇんざないっ、と歌いたくなります。
老舗のお坊っちゃま、三代杉
楠川分れから15分ほど歩いたところに、三代杉がありました。
トロッコ道のすぐ横にあります。一代目の倒木の上に二代目が育ち、二代目が伐採された切り株の上に、今、三代目が育っているそうです。一代目は樹齢1,000年、二代目は樹齢1,200年、今の三代目が樹齢350年と言われているそうで、縄文杉の老舗のようです。三代目は350歳でも、先代、先先代と比べると、まだまだひよっこです。老舗のお坊っちゃまといったところでしょうか。
相方をなくした仁王杉(阿形)
楠川分れから1時間ほど歩いたところで仁王杉。こちらもトロッコ道のすぐ横にあります。
寺院の門の左右に立っている仁王像が名前の由来だそうで、こちらは木の中央にある凹みが口を開いたように見えることから「阿形」と呼ばれているそうです。もともとは、この口を開いた仁王杉(阿形)と、口を閉じた「吽形」に似た仁王杉(吽形)が揃って2本立っていたそうですが、仁王杉(吽形)は2000年11月の台風の影響で倒れてしまったとか。相方の仁王杉(吽形)をなくしてもなお、ひとりで立ち続ける仁王杉(阿形)に哀愁を感じてしまいます。
トロッコ道の終わり、山道の始まり、大株歩道入口
さらにトロッコ道を歩き進め、楠川分れから1時間10分歩いてようやくトロッコ道の終点である大株歩道入口に到着しました。ここからは本格的な山道が始まります。縄文杉までの道のりではここが最後のトイレということで、多少列に並ぶ必要がありますが、背に腹は変えられません。ここでトイレを済ませて、少し長めの休憩。
ここからの道のりは、これまでのほぼ平坦なトロッコ道とは打って変わって、本格的な山登りになります。他の人は涼しい顔で、髪もサラサラの状態で登っていましたが、オヤジ並に汗っかきのわたしは、シャワーでも浴びたかのように汗だくに。髪の毛からひっきりなしに汗が滴ります。わたしの汗腺の蛇口は壊れているに違いない。
加えて日頃の運動不足がたたって、息もゼーハーゼーハー上がりっぱなし。夫の大丈夫?という問いかけにも、答えることもままならないほどです。急に始まった山道と、久しぶりの山登りに体がびっくりしたのか、大株歩道入口からウィルソン株までの道のりが一番きつかったような気がします。とは言え、急こう配の道には木道階段が整備されているので、難しさや、道に迷うようなことはありませんでした。
洞窟のようなウィルソン株
持参した2台のカメラのうち、1台のカメラを夫に託し、荷物を軽くして、なんとかウィルソン株に到着。
ウィルソン株は、豊臣秀吉の命令で大坂城築城のために伐採されたと言われているそうです。想像した以上に大きく、木の株と言うより、ちょっとした洞窟のような大きさでした。大人でも10人ほどは入れそうです。これを調査して世界に発表したアメリカの植物学者、アーネスト・ウィルソン博士も、洞窟だと思って雨宿りしたという話にもうなずけます。
株の中に入って、ハートの形に光が注ぐポイントを見つけて、定番の緑のハートを撮影。近くにいたガイドさんが、この時間帯は光の射す角度の都合で、綺麗なハートの形にならないと説明していました。確かにハートの形が崩壊仕掛けています。
大王杉の近くの水場でお昼ご飯
さらに登って登って、大王杉近くの水場でお昼休憩。お昼ご飯用のお弁当を食べました。エネルギーチャージもできて、お弁当も空になり、荷物も足取りも軽くなりました。ここまで来れば、縄文杉まであと一息です。
近寄りがたい貫禄の縄文杉
最後の一踏ん張りで登って、やっとのことで縄文杉に到着。
縄文杉を守るために北側、南側、正面に設けられた展望デッキから縄文杉を拝みます。近寄りたくても近づけない縄文杉からは、それでも圧倒的な生命の力を感じます。樹齢2,170年以上とも、樹齢7,200年とも言われていますが、いずれにせよ悠久なる時間を生き続けて来たことになります。
光が射し込み、神々しい姿を見せてくれました。
十分に縄文杉からパワーをもらったあと、ここからまた来た道を戻ります。11時15分に縄文杉を出発することができて、バスの時間には十分に間に合いそうなので、復路は往路でスルーしてしまったところで写真を撮りながらゆっくりと降りることに。登り優先なので、混雑期のこの日はここそこで渋滞が発生。登ってくる人に道を譲りながらの下山ということもあって、さらにゆっくりペースで降ります。
どう見てもマグロの頭
縄文杉への道中、ユニークな倒木もたくさんありました。
その一つがこのマクロの頭に似た倒木です。恥ずかしながら、定番のマグロに食べられるポーズで記念撮影もしてしまいました。
手をつなぐ夫婦杉
3m離れて立つ2本の杉が、およそ10mの高さで枝が繋がって融合した夫婦杉。
このように高い位置で繋がっているのは珍しいことだそうです。向かって右が夫、左が妻だと言われているそうで、その根拠は謎ですが、その姿は確かにまるで手繋ぎデート中の夫婦のようです。
トップの座を譲った大王杉
50年前に縄文杉が再発見されるまでは、最大の屋久杉とされていた大王杉。
株の前後で5m以上もの差があるほどの急斜面に立つ姿は、縄文杉にトップの座を譲った今でもさすがの威風堂々の姿です。
ウィルソン株のハート、リベンジ
往路で撮ったウィルソン株の写真は、光の射す角度の都合で、崩壊しかけのハートの形の写真になってしまったので、復路でリベンジ。
今度は光と影のバランスがとれて、グリーンのハートを撮ることができました。
縄文杉ルートでも苔むす森
苔むす森といえば白谷雲水峡ですが、大株歩道入口と縄文杉の間の道中でも、苔むす森のような景色が見られます。
今にもこだまが現れそうな幻想的な風景です。
倒れてもなお存在感を示す翁杉
幹の内側から腐敗が進み、重さに耐えきれず、2009年9月に倒れたという翁杉。
倒れる前は、縄文杉に続き、2番目の太さだったそうです。折れた幹は登山道とは反対側の沢の斜面に倒れているのが見え、その姿からも現役の時はいぶし銀の魅力を放つ存在だったのだろうと想像できます。
山道の終端、大株歩道入口に生還
縄文杉から2時間下り続け、大株歩道入口まで戻ってきました。下っている最中は、こんなところを登ってきたのかと思うような急な階段や岩場もところどころありましたが、怪我もなく無事、山道の終端の大株歩道入口まで戻ることができてほっと一安心です。
ここでトイレを済ませ、長いトロッコ道に備えて、長めの休憩を取ります。
仁王杉(阿形)を独り占め
往路は有名な屋久杉の前では写真撮影待ちが発生しがちですが、復路では比較的空いていることが多いように思いました。
この仁王杉(阿形)も、復路では周りに誰もいなかったので、じっくりと撮ることができました。
トロッコ道、ふたたび
復路もまた延々とトロッコ道が続きます。
もう、うぇんざないっ、と歌う元気もありません。どちらかと言うと、線路は続くよどこまでも、と恨めしく歌いたくなる気分です。
時には、トロッコ道の横にも、苔むす森のような顔を見せてくれるのが、せめてもの救いです。
楠川分れでバイオトイレ拝借
楠川分れには、バイオトイレが2つ設置してあります。左のトイレは阪急交通社寄贈、右のトイレは小林製薬寄贈のものだそうです。
わたしは右のトイレを拝借しました。小林製薬さん、ありがとうございます。
洋式のトイレにおがくずが入っているような見た目で、臭いはありません。アリさんが便座にいらっしゃったので、アリさんの邪魔をしないように空気椅子体勢で用を足しました。
ボタンを押すと、おがくずが撹拌されます。これで、微生物の力で糞尿を分解してくれるそうです。微生物さん、ありがとうございます。
出すもの出して、引き続きトロッコ道を歩き続けます。
荒川登山口に感動のゴール
こまめに休憩を取りながらも、往路よりは早いペースでトロッコ道を歩き、ようやく荒川登山口へ戻ってきました。縄文杉に到着した時よりも、荒川登山口に到着した時の方が感動したのは、きっとわたしたちだけではないはず。